～リナゴとの出会い～


マレーシア・ボルネオ島を初めて訪れたのは、大学４年生の時でした。
ボルネオ島に暮らす先住民ドゥスン人の村にホームステイしたことがきっかけで、人類学を学ぶためにボルネオ島サバ州にある大学院に進学し、その時にリナゴに出会いました。


初めはお土産屋さんで見つけたリナゴ。町のショッピングモールで開催されていた手工芸品フェアでリナゴ職人さんと出会い、彼女たちの作るかごの精巧さとデザインにとても魅了されました。その後、リナゴのことをより知るために生産地と職人さん方を訪問しました。制作工程を始め、いろいろなお話をお伺いするうちにリナゴの伝統技術を大事にし、また守りたいという職人さんの思いを知りました。


ボルネオ島の先住民は、昔から木や竹、籐（ラタン）、シダなどの天然素材を用い、傘やざる、背負いかごなどの生活用品や楽器などを自分たちの手で作ってきました。しかし、私は、大学院でボルネオ島の先住民について学ぶ中で、その伝統技術を受け継ぐ人が減ってきている村を目の当たりにしました。そこで私は、生活にとけこんだ手工芸は先住民の文化を象徴しており、後世に伝えていくことが先住民のアイデンティティを守ることにも繋がるのではないかと考えたのです。


リナゴは、マレーシア・ボルネオ島サバ州の中でも先住民ルングス人のみが作ることのできるかごです。ルングス人コミュニティの中で先祖代々受け継がれてきたリナゴの技術は、彼らにとって文化的遺産として大切にされています。ラヤンラヤンで取り扱っているリナゴは、子どもを持つお母さんでもある職人さんグループが制作しています。彼女たちは幼少期から祖父母世代や親世代から技術を伝授され、原材料の採取から加工、制作まで全て彼女たち自身で行っています。リナゴの伝統技術を守るためにも、私はその良さを日本に伝えたいと思い、リナゴのお店をオープンするに至りました。彼女たちは日本へ届けるために、一つ一つ制作に時間をかけ、丁寧に編んでいます。どうぞよろしくお願いします。


ラヤンラヤン・ボルネオクラフト 代表